茶葉について
私は元々ワインに関わっていたため、
基本的にワインと共通する基準で茶葉を分けていただけないかお願いしております。
ワインで言う「ミネラル」と余韻、そして香り・味から感じる香味成分の成熟度です。
「ミネラル」はここでは「口の中での瑞々しさの広がり」として扱っています。
定義が曖昧な言葉なので使用しない方が良いかもしれないと思うのですが、
これをお伝えしない事には大切にしている味わいを共有する事が難しいので。
「ミネラル」は土壌による影響が非常に大きいです。
土壌中の金属元素の種類・量・比率や有機物の種類・量が関わってきます。
有機物は植物の成長に必須ですが、多すぎると栄養成長、植物がグングン伸びる事に集中していき、付ける花の数が減ったり、果実の糖度が下がったりします。
逆に少ないと生殖成長、植物が次世代を残すための器官である花や果実をつける事に集中します。
お茶も葡萄も生殖成長に集中するように促すと、樹体が小さくその中に成分が凝縮して味・香りともに濃くなります。
葡萄においては土壌に含まれる石灰質が特に重要視され、
それが「ミネラル」にも影響しています。
土壌中の石灰岩が多く、味わいが繊細なシャンパーニュでは比較的言及されている味わいの要素ですが、まだ定義は明確になっていません。
お茶は葡萄と違って葉から作るものなので、
糖分やアミノ酸等の有機物は比較的少なく、
土壌の金属元素の影響で表れる「ミネラル」の味わいの影響がより強く感じやすいです。
「ミネラル」は口当たりの滑らかさや余韻の伸び・広がりを与えます。
しかし、「ミネラル」を大切にした栽培はその分手間と忍耐が必要です。
即効性のある肥料や農薬を使う方が確実に茶葉の収穫量は増加します。
でも「ミネラル」を大切にするにはこれらを使うことは難しくなります。
最低限の樹への介入で最大限の品質を産めるように樹の栄養成長を抑え、
病虫害の被害も手間がかかる対処となり、
栽培家の方々の肉体的・精神的苦労は大きくなります。
このような栽培家の方々の努力・忍耐を糧に「ミネラル」豊富な茶葉はつくられます。
kotohaの中の人の実験では近い「ミネラル」の性質を持った茶葉やハーブを合わせると、
味わいの深みが増し、より喉の奥に入り込むような余韻の力強さと長さが増しています。
基本的にkotohaは「ミネラル」を豊富に感じられる茶葉やハーブを中心に集めています。
ただ、組み合わせによっては「ミネラル」が多くない原料の味わいを変え、
単体では感じられない味わいを引き出すこともあるので、
一部「ミネラル」が多くはないけれど特徴的な香りや味を持つ茶葉やハーブ等も扱っています。
この「ミネラル」は芽で特に濃く感じられますが、芽は甘みや抗酸化成分も多く含みます。
そのためかどうかはまだ断言出来ませんが、
茶葉の、萎凋に伴う茶葉に含まれる酵素による発酵が弱いものは、
酸化反応の結果生じた渋みや苦味を含む茶葉等と一緒に抽出すると、
渋みや苦味、多くの焙煎香を感じにくくなります。
茶葉だけでなく他の植物の花や皮の乾燥物でも同じ効果を持つものがあります。
この効果を利用して何杯飲んでも渋みや苦味を感じにくく、
変化はあっても味わいの劣化を感じずに長く楽しめる品作りをkotohaのブレンドの中心に置いてます。